ルート確保時、偶然とはいえ走行している神経を針先で損傷してしまい、知覚異常が長期にわたって出現してしまうケースが存在します。
治れば良いのですが、中には永久的に残ってしまうものもあり、裁判で看護師が負けた判例も多数存在します。
そんな神経損傷のリスクを少しでも減らし、また早期発見するためにはどうしたらいいでしょうか?
ルート確保時の神経損傷リスク大!橈側皮静脈は避けよう
ついつい前腕の手首周辺の、親指側(橈側)の静脈、狙ってしまいますよね。
なんたって血管が皮膚に近くて太く、いかにも取りやすそう。
しかし、ここは神経が周辺に走行しており、明らかにリスクが高い部位なので、なるべく避けるようにしましょう。
個人的には、手首から10cm以内の血管はどんなに良い血管であっても、避けるようにしています。
なぜならば、過去の裁判で「手首から10〜12cm以内の血管を刺した」のが過失になり損害賠償を認める判決が出ているからです。賠償額は5000〜6000万円です。
手首から10cm以内は刺さない。これでいきましょう。
https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/529233/
患者さんに確認する事で合併症を未然に防ぐ
穿刺した時に、電気が走るようなピリッとした激痛が無かったか、を確認します。
学術的に言えば、神経を直接損傷した事による電撃痛があったかどうか、を確かめます。
また、針を抜いて留置したのち、痛みが変わらず継続しているかどうかも確認します。
穿刺による痛みの場合は、穿刺が終わればすぐにおさまりますが、神経損傷そのものの場合は疼痛が継続します。
これらを確認する事で、発見が遅れる確率を少しでも減らせるでしょう。