採血に適した血管はどこ?失敗しない血管選択


採血や抹消静脈路(ルート)確保をするにあたって、まず成功率を高めるポイントになるのが、血管選びです。

取れやすそうな血管がいくつもある患者さんもいれば、「この血管を逃したらもう入りそうなところはない…」という患者さんもいます。いざ採血する、という時に「ダメかも…」と思っていては入るものも入りません。しっかり血管を選んで、自信をもって挑みましょう。

Y字の血管を探せ

まず駆血した段階で、パッと見て良さそうな血管のうち、Y字になっている血管を見つけましょう。

Y字の血管は物理構造上、いわゆる「血管が逃げ」にくくなっています。あまりコロコロ動かないため、特に高齢者で血管が動いてしまう患者さんに有効です。

複数ある場合は、以下の条件でさらにスクリーニングします。

1、より抹消側である

2、より太くて取りやすそうである

抹消により太いY字の血管があれば最高ですが、なかなかそういう時はありません。そういう場合、用途に合わせて選びましょう。

例えば輸血、手術用の、16〜20Gの太いルートを取らなくてはならない時、1番目の「抹消側である」という条件よりは、2番目の「より太い」という条件を優先させます。

逆に、細くてもとりあえず入れば良い時は、失敗も考慮してより抹消側で取るようにします。

 

Y字の血管がない場合

Y字の血管がない患者さんもいます。そういう場合は、駆血した際パッと見て、なるべく直線距離が長い血管を選びます。

より太く、より抹消、という条件はその後に続きます。

採血の場合は問題ありませんが、抹消静脈路(ルート)確保の際は、最低限、留置する外筒の長さ以上の直線距離がある血管でないと、血管の曲がっている場所で外筒の先が血管壁に当たってしまいます。

なので、まずはまっすぐ伸びた血管を探しましょう。

その際、直線部分をいきなり刺すか、よく考える必要があります。

この図は、手前が抹消側、奥が中枢側です。

いきなり2番を刺したくなりますが、これは多くの場合1番から刺した方が無難です。

なぜならば、刺せる血管がこの血管以外に見つからない、という場合、失敗した時同じ血管で再度試みる場合、より中枢側から刺さなければなりません。

 

これらの条件を組み合わせて、用途や患者さんの状態に合わせて血管を選択します。

例えば、大量輸液が不必要で、留置するルートのG数は細くて問題ない場合「最低限の長さがある、細くても良いからY字の血管」を選ぶのが良いでしょう。

例えば、化学療法で使える血管が少なく、失敗が許されないが輸血用のルートを取らなければならない、という場合は「最低限の長さがある、手背でも良いから太くて取りやすい血管」を選びましょう。

例えば、救急外来でCPAが来た場合は、血管選びなどせずに、トライアンドエラーを繰り返してとにかく時間内に多くのルートを取りましょう。アドレナリンがivできない時間を短くします。どんな細さでも構いませんし、何回刺して抜いても構いません。確かに患者さんは痛いですが、意識が無くそれどころではないはずです。

逆に救急外来で出血性ショックが予測される場合、数は少なくても良いから輸血ができるようになるべく太いルートをとる必要があります。

一見なんという事はない手技のように見えますが、場合によっては生死の律速段階になる事もあります。日頃から血管選びの癖をつけていれば、いざという時に素早くスッと入れられる、かもしれません。