血管が細すぎて点滴ルート確保が難しい場合の対処法


マッチョな人は得てして血管が太くて見やすい、というイメージがありませんか?

実際、筋肉量が多いと、必要とするエネルギー量が多く、燃焼に必要な酸素需要が高くなります。結果、それに対応するために抹消血管が太くなります。

逆に言えば脳性麻痺や脳梗塞などの既往があって、体に麻痺が残存している人、高齢者、など「筋肉量の低下が想定される患者さん」では、抹消血管が細い可能性が高いと言えるでしょう。

そういう意味では、女性で「浮き出ている血管が好き」というのは、ある意味男らしさの象徴であるから、かもしれません(笑)

さて、細い血管で末梢静脈路(ルート)を確保する際に気をつけなければならないのは、血管を貫通させないという事です。物理的により細い管に針を刺せば、貫通しやすいのは理解しやすいと思います。

では、それを予防するにはどうしたらよいでしょうか?

角度をなくす

答えは「角度をなくす」です。限りなく地面に平行に近い状態にして、針を進める事で、血管壁を貫きにくくなります。

上図のように、同じだけ針を進めても(a=b)、角度が違うと「進行する深さ」が異なります(c<d)。つまり、右図のように、角度をつけた状態では少し針を入れただけで結構深く刺さってしまい、貫通しやすくなってしまいます。数学で言う所の三角関数、sin、cosで考えれば、sinθ(深さ)は角度がつけばつくほど大きくなるからです(0°≦θ≦90°)。

逆にcosθは角度がつけばつくほど小さくなるため、「まっすぐの血管がない(直線部分が短い)」時は角度をつけると、短い血管に入れやすいと言えます。

患者さんの血管が細いケースで想定される高難易度のケースは、高齢者で血管は細いが、動脈硬化があり硬くてコロコロ逃げてしまう、というケースです。血管が細い場合は角度をなくした方が良いですが、こちらの記事に血管が逃げる時には角度をつけて確実に血管を刺す、と書きました。一体どうすれば良いのでしょうか。

答えは、角度はなくす、なるべく水平にした状態で行います。しかしその代わりに、血管を貫く能力が低下してしまいます。そのため、なるべく勢い良く血管を刺します。

逃げられないように、思い切ってプスっと。そうすると、「角度をなくし」た事により「細い血管を貫通させない」メリットを得つつ、「血管が逃げやすい、うまく血管壁に刺さらない」というデメリットを消す事ができます。

慣れるまで少し訓練が必要ですが、できるようになれば一気に「高齢者のルート取り」は上達するでしょう。